PTAの役員というと、何度も学校に行かなければならず「大変」なイメージが大きいですね。でも、本当に大変なだけなのでしょうか。
PTA不要論も叫ばれる中、じつはPTA役員になることで得られるメリットも大きいようです。
今回は、小学校のPTA役員(会長)を引き受け「とても良かった」と語る友人の例をお伝えします。
もくじ
じつはこんなにいい点が!PTAのメリットについて
わたしの友人は42歳で長男を出産し、小学5年生のときにPTAの役員を引き受けました。1年間の任期でしたが、その後さらに1年間PTA会長を努めています。
彼女は「たしかにたいへんなこともあったけど、それ以上に得るものの方が大きかった」と言います。
とくに
- 友人・知人が増え、情報交換の場となる
- 学校の先生との距離が近くなる
- 「親の学びの場」になる
というメリットがあったそうです。詳しくみていきましょう。
友人・知人が増え情報交換の場となる
42歳で出産した友人は、子どもを通しての友人はあまり多くいませんでした。しかも周りのお母さんたちは、自分よりもはるかに若い人ばかり。
なんとか合わせてきたものの、深い話をすることはなかったということでした。
そんなこともあり、学校での情報が欲しいと思った友人は、小学校5年生のときにPTAの役員に立候補します。
それまでは、子どもが一緒に遊ぶ友達や、周辺の情報しか得られませんでした。しかし役員になることで、違うクラスや上の学年の役員とも顔を合わせることになり、とてもよい情報交換の場になったということです。
子どもの情報はもちろん、学級・学年・学校の情報をはじめ、中学校、高校の情報なども得ることができ「自分の視野が広がった」ということでした。
また、学校の情報だけでなく地域の情報交換の場ともなり、意気投合した役員のお母さんとは、卒業後も連絡を取り合う仲になっているということです。
先生との距離が近くなる
PTA役員の集まりには校長先生や教頭先生も出席するため、先生達の考えを聞いたり、話しをする機会が多くありました。
現在の教育をめぐる話題や、小学校が抱える問題などを身近できくことができたと言っていました。
また、担任以外の先生とも顔見知りになるため、子どもと共通の会話も増えたということです。
家庭ではあまり行動的に見えなかった子どもが、クラスの行事などで率先して動いていることを聞くことができ、「役員をしていなければわからなかったかもしれない」と言っていました。
親の学びの場になる
彼女がPTAの役員をして一番メリットだと感じたのは「PTAは親の学びの場になる」ということだったそうです。
PTAの役員には、いろいろな立場の人がいます。同じ小学5年生の親であっても、考えることは本当にさまざま。
自分よりも若い小学校2年生の子のお母さんが、中学受験のことを話していたり「そんなことまで考えてるの!」と思うようなことがいくつもあったそうです。
実際の作業としては大変なこともあったけれど、自分の視野を広げるきっかけになったということでした。
「意見が違う人もいるけど、そういう人とも接することで得られる自分の成長のほうが大きかった」ということです。
「意見が違うことがあっても、みんなが納得できるところはどこなのか。その結論にもっていくための考えかたや道すじのつけかたなど、勉強になることがたくさんあった。そして苦労して話しがまとまった時には、達成感があった」と言っていました。
「何よりも、PTAの役員として自分が頑張っていることを、子どもはしっかり見ている。そこがとても大切」と言っていました。
卒業後に子どもから「お母さん、頑張ってたよね」と言われて、やってきてよかったと心から思ったとのことでした。
PTAのデメリット
PTA役員をすることでメリットが大きかったと話す彼女ですが、やはりデメリットもあり改善していかなければならないことも多い、と言います。
時間的な拘束が多い
友人は、あまり気にしていませんでしたが、「拘束時間が多くて大変」という声が多く聞かれます。「役員によっては1ヶ月に2~3回仕事を休んで出席しなければならないものもある」と職場の若いお母さんは言っていました。
ざっと聞いただけでも下記のような集まりがあります。
・PTA総会をはじめ、PTA役員会・運営委員会(このあとに懇親会が行われることが多い)
・クラス単位あるいは学年単位での親睦会。
・PTA役員の集まる会議は、担当する委員や行事にもよるが、少ない委員でも月1回程度ある。会長などになると「行かない日を数えたほうが早い」月もある。
・係であっても数ヶ月に一度、登下校の見守りや夏休みにはプール当番がある。
・保護者向けの講演会・講習会・スポーツ大会の開催準備と反省会。
・学校行事 (運動会や学校祭のPTA担当バザー)の打ち合わせ、準備。
・ベルマーク運動
係として20人くらい集まって作業をする。2時間程度かかるが、収益となる金額は数千円程度で効率が悪い。
役員決め
PTA役員決めの多くは、春の授業参観のあとクラス懇談会があり、そのあとPTA役員決めになりますが、この役員決めが難航して時間がかかります。
最終的にはじゃんけんやくじ引きで決定する、というところも。
人間関係
また、一緒に役員になるメンバーによっては、人間関係でストレスになることも多いようです。
職場の別なお母さんは、「PTAのしごとよりも、この人間関係のほうがストレスになる」と言っていました。
無駄な作業はないか検討する
上記にあげたような行事と準備・反省会。本当に必要なものばかりでしょうか。「従来から行ってきた行事だから中止することはできない」という意見があっても、現在の状況に合わせて、不要なものは中止する勇気も必要です。
実際に友人のPTAでは、状況に合わせて下記のように仕事を変化させてきています。
ボランティアの協力・外部へ委託
登下校の安全見守りについては、地域のボランティアの方たちにも協力をいただいているとのことです。
プール当番も人数を減らして、インストラクターの資格をもつ監視員をお願いする方法が検討されているとのことでした。
本当に必要なことに絞る
人手を必要とするベルマーク運動には、参加していないということです。
インターネット回線を利用した会議も話題として取り上げられたようです。現在はスマートフォンのみでパソコンは保有していない方が多いため、こちらも保留になったということでした。いろいろなことが、検討されはじめているということです。
「PTA役員をやりたくない」と思われてしまう原因をひとつひとつ改善して、負担なくPTA活動ができる環境にしていく必要があるのではないか、と言っていました。
まとめ
今回は、実際にPTAの役員の経験がある友人に、「PTA役員になるメリット」について聞いてみました。
- 友人・知人が増え、情報交換の場となる
- 学校の先生との距離が近くなる
- 「親の学びの場」になる
の3点が自分にとっては大きなメリットになったということです。
さらに、
- 地域のボランティアに協力を仰ぐ。外部へ委託する
- PTA役員の仕事として本当に必要なことを検討していく。
これらを進めていくことで、PTAのあるべき姿が時代にあったものになっていくのではないかということでした。
全国的にみると、PTAを廃止した学校もあるようです。しかし、保護者の集まりは必要と判断し、「保護者の会」がたち上がっている学校もあります。
70年前に始まったPTA活動を、そのままの形で引き継ぐ必要はないと思います。不要な活動は中止し、必要なことをできる範囲で行えるように、活動を整えていくことが大切ですね。